「第65回Q-LEAP量子AIセミナー」のお知らせです。
今回は、慶應義塾大学の原田 寛之 氏による、量子回路の分割問題に関してのオンラインセミナーを行います。
参加を希望される方は下記の参加登録フォームよりご登録をお願いします。
- 日時: 2024年8月6日(火) 13:00~14:00
- 場所: オンライン(ZOOM)
- 講演タイトル: Doubly optimal identity channel decomposition and its applications
- 講演者: 原田 寛之 氏(慶應義塾大学 理工学研究科 博士課程)
概要:
量子回路分割法は、量子回路に含まれる非局所演算を「切断」することで、大規模量子回路を複数の小さな量子回路に分離する技術である。この手法は、利用可能な量子メモリーの量と質に関する制限を緩和する手法として期待されている一方、追加の計算コストを要する。特に、ある精度で回路出力を得るために必要な測定回数が分割前に比べて増加することは重要な課題となっており、近年の研究では、この増加量に関係するサンプリングオーバーヘッドと呼ばれる指標の最小化が追求されてきた。
本研究では、量子回路中のワイヤーの「切断」、具体的には多量子ビット恒等チャネル (Identity channel) をmeasure-and-prepare チャネルへ分解する問題に関して、相互不偏基底 (Mutually unbiased bases: MUBs) を利用した分解手法を提案する[1]。提案手法は、最適なサンプリングオーバーヘッドを達成することに加えて、先行研究で分解サイズ分必要としていた追加の補助量子ビットの削減に成功している。さらに、古典処理量に大きな影響を与える分解のチャネル数に関しても最小性を実現する。
また、恒等チャネルの分解問題はその一般的な形式から、様々な応用可能性を持つ。本講演では、提案手法の詳細とその応用可能性について議論する。
[1] https://arxiv.org/abs/2303.07340
本セミナーシリーズは量子AIやその周辺分野に関する最近の研究内容などを共有するために企画した、オープンなセミナーです。
皆さまのご参加をお待ちしています。